真夏の満月の夜、小網代の海岸には産卵のために多数のアカテガニが姿を現します。
アカテガニは小網代を代表するカニで、その産卵シーンは、本当にドラマチックです。
見学者の数も年々増えています。
小網代湾に流れ込む小さな川、浦の川より湾口を望む。
浦の川は小網代の森の奥で湧き出す水が集まって出来た
全長1.5キロメートル足らずの小さな川です。
この日のアカテガニの産卵の観察は、この湾の右手で行な
われました。

見学に先立って、横浜自然観察の森友の会の方々が作って下さった紙芝居を使って、アカテガニの生態についての説明と見学に当たっての注意事項をボランティアの方が説明してくれます。
アカテガニが海岸に現れる前に、アカテガニの通り道と産卵
場所を邪魔しないよう、海に入って暫く待ちます。
アカテガニの産卵を待っているのは我々人間だけではありま
せん。 足下を見ると、産卵される卵を狙って無数のボラの
稚魚が水際に群がっています。
そのうち今度は、上空に「ギャーッ」と言う鳴き声を発してゴイ
サギが姿を現します。ボラの稚魚を狙っているのです。
カワセミが水面すれすれに飛ぶこともあります。待つ時間も
飽きることがありません。 アカテガニが集まってきました

いよいよ産卵が始まりました。お腹の卵を海に向かって放つために体を振るわせると、静かな水面には波紋が拡がります。
産卵は水際の浅いところで行われます。メスガニのお腹に付いた沢山の卵は、水にふれるとゾエアというボウフラみたいな幼生になります。
幼生は海で約1ヶ月間過ごし、脱皮して小さなカニとなり陸に上がります。アカテガニの海での生活は、一生の中でこの1ヶ月だけです。
だからアカテガニにとっては、森と干潟と海が一体となった自然が必要です。小網代にはこうしたこうした貴重な自然が残っています。
陸では産卵を待つアカテガニが沢山待機しています。
後ろ足でしっかりと体を固定し、全身を振るわせ、前足で
無数の卵 を海に放ちます。
でも、大部分は間近に群がっているボラの子に食べられ
てしまい、無事に生き延びられるのは僅かです。

アカテガニが産卵する傍らでボラの子を食べているアシハラガニがいました。
アカテガニが産卵したばかりの幼生を食べられてしまう一方で、逆にこうしてボラの子を食べてしまうカニもいるんですね!
海岸やその後ろの草むらでは、アカテガニのオス達が産卵
を終えて戻ってくるメスを待ちかまえています。
うまくメスを捕まえたオス(上側)。オスはメスより体が一回り
大きいです。メスはじっとしてます。
オスはメスのハサミを掴んで森の中に帰って行きます。
オスは、お互いに向き合った形でメスを運んで行きます。
上側がオスです。こちらを向いているメスのお腹の丸く白い部分
が良く分かります。これがメスの特徴で、カニのオスとメスを
見分けるポイントです。
一夏でメスは2回ないし3回の産卵を行います。
1回の産卵で海に放たれる卵の数は4,5万個と言われていま
す。 でも、生き延びられるのは僅か数匹です。
アカテガニの産卵は、7,8月の大潮または中潮の日の19時頃
から約1時間位の間に見られます。
アカテガニがいつまでも産卵できるよう小網代の森が残っていて
欲しいものです。

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